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投資家と起業家の違い(違いを生み出す2つの能力)

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私は、幾つかの事業を起業して、上手くいったことも失敗したこともある。幸いにして直近の事業が成功し、現在はその資金を元に投資家へと転じている。以前にも似たような経緯で投資を行っていたことがあり、今回も投資し始めの頃は事業と同じスタンスで挑んでいた。それが、私より投資が得意な知人数名を参考にして、自分の遣り方を大きく変えたところ信じられないようなパフォーマンスを叩きだし、遂には働かなくて良くなってしまった。

その時に私の頭に、投資家と起業家は何が違うのだろうか?また、何が夫々の違いを生み出しているのだろうか?と言う疑問が浮かんだ。最終的に、投資家には卓越した「見つける能力」があり、起業家には特別な探究心や競争心に起因した「気付く能力」があると考えるようになった。

本日は、それらの2つの能力について書いていこうと思う。

 

1.投資家の「見つける能力」

見つける能力とは、端的に言うと油田を探すスメラーである。昔は、機材が発達していなかったため、スメラーと呼ばれる人達が油田を探し当て、大金を掴んだ。現代では、セコイアキャピタルがアーリーステージのGoogleを見つけたように、または孫さんがYahooやアリババを見つけたように金融市場に著名なスメラーが存在する。

文字通り投資家にとって最も必要な能力だが、最近話題のキュレーションメディアにも似たような能力が使われている。キュレーションする能力とは、世間がどういうものを求めているかを理解して、その情報を探してきて、整理することにある。その中でも、世の中のニーズにあったものを見つけてくる能力が重要である。「はてなブログ」でも、よくライフハック系のブログを見かける。彼らはキュレーションしてユーザを集めているのである。

同じ能力でも、使う場所が違うと、全く違う効果や結果を生み出すことになる。よって、自分の能力をどこで使うかを考えることが一番大切だと思う。その為には時代の流れやマーケットも同時に理解しておく必要があるのではないだろうか。

 

2.起業家の「気付く能力」

アメリカでは、起業家がエクジット後に有名な投資家になるケースも多い。起業家にも見つける能力は必要だが、それ以上に重要な能力がある。それは、気付く能力である。

起業家は、スキームを組み立てる必要がある。何をするかも重要だが、どのようにして実行していくか、またはどのようにマネタイズするかが難しい。そして、そういった全てを確立したものがノウハウとなる。このノウハウは細かいことの積み重ねだ。あらゆるところに起業家の気付きがあり、その一つ一つが最終的に大きな差を生む。

起業家ではないが、元ヤクルトスワローズの古田捕手を新人の際にレギュラーで起用した野村監督は、その理由を「気付く能力」だと言っている。プロ野球の世界ですら、気付く能力を持っている人は殆どいないらしい。

普段から興味と問題意識を持って行動した人のみが気付く能力を手にすることが出来る。発見や発明する人は、寝ても覚めても同じことを考え続けている。その結果、一見関係がなさそうなところで、他の人が目を見張る発見をするのである。

 

まとめ

見つける能力と気付く能力、この2つがビジネスでは貴重な能力となる。

両方あればベストだが、どちらか一方でも磨けば一流になれる。これらの能力は想像以上に地味だ。気付く能力を得るには、その分野においてずっと考えを巡らせておく必要がある。その上で継続的な集中力と観察力を発揮することが出来る。よく気付く人は、習慣的に深い探究心を持ちながら生活している。きっと自分が満足するまで追求しないと気が済まないのだろう。

見つける能力も同様に退屈な作業を淡々とこなすことになる。例えば、ブロガーを発掘する場合は、数あるブログを何日も読み続けて、やっと1名の目ぼしいブロガーを見つける。その後その人をフォローして、また何日もブログを読み続けることにより初めて何かを確信できる。そんな作業をずっと継続しているのだ。プロスポーツ選手のスカウトも同じだ。目立たないところでとても地味な作業を繰り返している。

仮に、どちらの能力も持ち合わせてなければ、これらの能力を持っている人を見つけて、その人についていくか、アドバイスしてもらうかが良いと思う。お金はあるが、見つける能力がない人は多く、アドバイザーとしてこの能力のある人と契約している。その逆もしかりである。

私も、投資する際は、この見つける能力のある人の意見を最も尊重する。自分より見つける能力が高い人を見つければ、私は自分ではなくその人のポートフォリオを見て投資する。実際に現在もそうしている。

創造することも同じで、全く新しいものはこの世には存在しない。今までに無いような組み合わせを見つけたり、気付いたりしながら新しい作品や商品を世の中に送り出している。ガウディの有名な言葉に「世の中に新しい創造などない。あるのはただ発見である」と言うのがあるくらいだ。

 

まずは、この2つの能力を念頭に置いておけばビジネスで人を選別する役に立つし、自分がどのような能力を磨くべきかが分かってくるのではないだろうか。